2026.10.21
「今、この瞬間」をからだで感じる|柿崎麻莉子さんとコンテンポラリーダンスのワークショップ
2026年10月4日、柿崎麻莉子さんをお迎えし、コンテンポラリーダンスのワークショップを開催しました。
ストレッチや呼吸法から始まり、柿崎さんによるダンスの鑑賞、参加者同士で身体を動かす体験まで。普段はあまり意識することのない自分の身体や感覚に目を向ける時間となりました。
呼吸に意識を向けてみる
まずはストレッチと呼吸からスタート。
柿崎さんがインドで教わったという呼吸法を教えていただき、息を吸って、吐くことに意識を向けてみました。
呼吸を繰り返すうちに、身体に入ってくる空気の冷たさや、少しずつリラックスしていく感覚に気づきます。
「1分やってみよう」と始めた呼吸の時間。終わってみると、実際には5分もの時間が経っていました。
時計が示す時間と、自分の身体で感じる時間は、必ずしも同じではない。そんな不思議な感覚を体験しました。
柿崎さんのこれまでの歩み
続いて、柿崎さんが高校時代に取り組んでいた新体操のこと、イスラエルの団体での経験、そして香川に帰ってきてからの活動についてお話を伺いました。
特に印象的だったのは、イスラエルでの日々についてのお話です。
戦争が日常生活の中にある環境で過ごした経験から、呼吸ができることや、身体を使って生きていることの大切さを感じるようになったそうです。
自分の身体が何を感じているのか。その感覚に意識を向けるという、現在の柿崎さんの活動につながる原点を知ることができました。
コンテンポラリーダンスって何だろう?
「コンテンポラリー」には、「今」「現代」という意味があります。
柿崎さんは、何か決まったものを表現しようとするのではなく、指先が触れ合う感覚や、その瞬間に生まれた気持ちを大切にしながら身体を動かしているそうです。
お話を聞いた後には、実際にダンスを披露していただきました。
同じダンスを見ていても、参加者が受け取ったものはさまざまです。
怒りを感じた人もいれば、悲しみを感じた人も。岩場を思い浮かべた人もいれば、誰もいない空間を想像した人もいました。
柿崎さんによると、ダンスを見て感じることには、その人自身のこれまでの経験が重なっているのだそうです。本を読むときに、物語を自分の経験と結びつけて受け取ることにも似ています。
また、ペットボトルを落としてしまった瞬間の悲しみや、落ちそうになったペットボトルを左右の手で受け止めようとする瞬間の感情についてもお話しいただきました。
何気ない出来事の中にも、その瞬間にしか生まれない感情や身体の動きがある。
「今、この瞬間」を身体で表現するコンテンポラリーダンスの面白さに触れることができました。
言葉を使わず、身体で伝え合う
今度は、参加者も実際に身体を動かしてみます。
最初はペアになり、お互いの中指で1本のペンを支えながら動くことに挑戦しました。
さらに、目を閉じて動いてみたり、ペンを使わずに相手の動きを鏡のように再現したり。ルールは、言葉を使わないことです。
ペンに触れる指先から相手の動きを感じ取り、相手の身体の動きをよく観察しながら、自分の身体を動かしていきます。
どちらがリードするかも、言葉では決めません。お互いの動きを感じ取りながら、自然と役割が入れ替わっていきます。
予想できない相手の動きに合わせようとすることは、思っていた以上に難しく、面白い体験でした。
参加者からは、
「普段、人の癖や特徴を見たりすることはないから面白い。けどそれに合わせるのは難しい。」
という感想も聞かれました。
普段は言葉で伝えていることも、身体の動きや指先の感覚から感じ取ることができる。いつもとは違う方法で人と関わる時間になりました。
日常の中にもあるダンス
柿崎さんにとって、コンテンポラリーダンスは日常生活の一部なのだそうです。
散歩をしながら風を感じたり、日の光を浴びたり。肌で感じるさまざまなことが、ダンスにつながっています。
最近感じた幸せについて伺うと、「海に行って波にもまれたこと」と話してくださいました。
高校時代に新体操を始めた頃から、自分の身体に意識を向けるようになり、少しずつ身体のことが分かるようになったり、感じ取れるものが増えたりしたそうです。
今、自分の身体は何を感じているのか。何を求めているのか。
その感覚に耳を傾けることで、日々の暮らしがより豊かになるというお話が印象に残りました。
また、柿崎さんは、コンテンポラリーダンスを日本でももっと広めていきたいと考えており、ダンス教室を開くことなど、これから挑戦したいことについてもお話しくださいました。
ワークショップを終えて
今回のワークショップを通して、身体を動かすことだけがダンスではないという、新しい視点に出会うことができました。
呼吸をすること、風を感じること、人の動きに合わせること。普段は何気なく過ごしている時間の中にも、さまざまな感覚や感情があります。
また、同じダンスを見ても感じることが一人ひとり異なるように、私たちが見ている世界や受け取っているものも、それぞれ違っているのかもしれません。
自分の身体の感覚に目を向けること。そして、ほかの人が感じている世界にも触れてみること。
柿崎さんのこれまでの経験や表現に触れながら、そんなことを考える時間となりました。
まなびやももでは、これからも子ども・若者がさまざまな人の経験や生き方、表現に触れ、新しい興味や発見につながる機会をつくっていきたいと思います。
柿崎麻莉子さん、ありがとうございました!




