2020.2.20
不登校の高校受験:内申点の壁と、合格発表を待つ夜
【不登校の受験生、どんな気持ちで夜を過ごしているか】
先週から今週、そして来週にかけて、香川県内の私立高校では入試や合格発表が続いています。
今日も、ある高校では入試があり、別の高校では合格発表がありました。
その学校を第一志望にしている子もいれば、公立高校を目指している子もいます。
試験を終えた今は、全力を尽くした子どもたちに、良い知らせが届くことを願うしかありません。
しかし、不登校や別室登校を経験してきた受験生にとって、高校受験は「当日の試験で力を出し切れば終わり」というものではありません。
不登校の高校受験では、当日の点数だけでは変えられないものがある
どれだけ勉強を重ね、入試当日に全力を尽くしても、それまでにつけられた内申点や調査書の内容を、当日の試験で変えることはできません。
欠席が続いたことで、出席日数が極端に少なくなっている。授業に参加できず、評価に必要な材料が十分にそろわない。
定期テストを受けて点数を取っていても、授業への参加状況などから、評定が低くなってしまうことがある。別室登校まで頑張っても、そこで十分な学習の機会が確保されているとは限らない。
不登校や別室登校の子どもたちは、こうした課題を抱えながら高校受験に臨んでいます。
選抜方法は高校によって異なり、不登校を経験しながら希望する公立高校に合格する子もいます。
それでも、内申点が重視される入試では、学校に通えなかった期間が受験に影響する可能性があります。
その事実が、学校に「行きたくても行けない」状況にある子どもたちの、大きな不安や負担になります。
「これから頑張りたい」と思ったときに立ちはだかる内申点の壁
学校に行きたくなかったのではなく、行きたくても行けなかった。それでも、自分の将来に向けて頑張ろうと思い、もう一度勉強を始めた。そのとき、過去の欠席や内申点が、大きな壁として目の前に現れます。
「あのとき学校に行けなかったことで、今の努力まで認めてもらえないのだろうか」
「どれだけ頑張っても、もう間に合わないのだろうか」
「当日の試験で点数を取っても、合格できないのではないか」
そんな思いを抱えながら、入試や合格発表を待つ夜を過ごしている子もいるのではないでしょうか。
学校の外で努力を続けている子どもたちがいる
学校の先生からは見えない場所で、「どうにかしたい」ともがきながら、自分の将来と向き合っている子どもたちがいます。学校に行けなくても、民間の居場所や学習支援の場まで頑張って来ている。
そこで勉強やさまざまな活動に取り組んでいる。自分のペースで人と関わり、少しずつ自信を取り戻している。高校進学や、その先の自己実現に向けて努力している。
こうした姿を、在籍校の先生方にも知ってもらうことが必要だと考えています。すぐに理解してもらえないことも、学校での評価に反映されないこともあるかもしれません。
それでも、まずは知ってもらう。学校の外にも、その子が学び、挑戦し、成長している時間があることを伝えていきたいと思います。
別室登校をしても、学習支援を受けられない子どもたち
教員の人手不足などにより、別室登校への対応が難しい学校があることも分かっています。
頑張って学校までは来られた。でも、教室には入れない。
本人は勉強したいと思っている。それなのに、別室に先生が常駐できず、十分な学習支援を受けられない子どもたちもいます。
「学校まで来られたこと」と「学ぶ機会を得られること」は、必ずしも同じではありません。学習を望んでいる子どもがいるのに、そばに先生がいてあげられない。
そのような場合には、私たちのような民間の支援者が学校に入り、別室で学習を支えたり、子どもの話を聞いたりすることもできるのではないでしょうか。
私自身、必要としてもらえるのであれば、喜んで別室へ学習のサポートに行きたいと思っています。
学校と民間の支援者が一緒に考えられる関係へ
学校の外で頑張っている子どもたちのことを知ってもらいたい。そして、その子にどのような支援ができるのかを、学校と民間の支援者が一緒に相談したい。学校だけ、家庭だけ、民間の支援団体だけで、すべてを支えることは難しいと思います。
学校の先生、保護者、地域の支援者、そして子どもや若者自身が、それぞれの立場から話し合い、一緒に考えられる機会をつくっていきたいと考えています。不登校の子どもの学びや高校受験について、一人で考えていると、どうしても行き詰まることがあります。
「この子の努力を、どうすれば次の進路につなげられるのか」
「学校の外での学びを、どのように共有できるのか」
「学校と地域には、どのような役割分担ができるのか」
そんなことを、誰かと一緒に話し合い、考えていける場もつくりたいと思っています。
今夜、あの子がゆっくり眠れますように
まとまりのない文章かもしれません。でも、今、頭の中にあることをそのまま書きました。
今日、試験を受けたあの子が。
今日、結果を待っているあの子が。
「これまでの自分も、今日頑張った自分も、どちらも無駄ではなかった」
そう思えますように。
そして今夜は、少しでも安心して、ゆっくり眠れますように。
2020年2月20日
執筆:一般社団法人もも 共同設立者 伊澤絵理子
元中学校教諭で、病院内学級を担当していた。自身の不登校傾向や家族の不登校、ひとり親家庭・ステップファミリーで育った経験から、家庭や学校以外にも、子ども・若者が安心して過ごせる場所が必要だと感じ、ももの活動を始める。30代でADHD・ASDと診断を受け、自身の得意・不得意とも付き合いながら、居場所づくりや学習・相談支援に取り組んでいる。中学校・高等学校教諭免許、相談支援初任者研修修了、香川県子どもの未来応援コーディネーター。

