まなびやもも

香川県高松市で、
子どもが安心して過ごせる場所を

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2021.4.12

#活動レポート

NPO法人ETIC.花王社会起業塾を修了しました

2021年3月、NPO法人ETIC.主催の花王社会起業塾プログラムを修了しました。本当に中身の濃い9ヶ月間でした。社会起業塾での学びを振り返ってみます。

1.メンターとのメンタリング

社会起業塾の期間、スタディクーポンの事業を展開するチャンス・フォー・チルドレンの今井さんがメインのメンターになってくださいました。また、ケアセンターやわらぎの石川さん、エーゼロの牧さん、坂の途中の小野さん、ETIC.の方々からもいろんな問いをいただきました。

粘り強く私たちに向き合ってくださり、これから先のビジョン・ミッション・戦略など、組織のことを考える時間を得ることができました。修了後、ようやくスタート地点に立てたのかなという実感もありました。終盤のメンタリングでの具体と抽象の往復を通してこれからの事業・組織の解像度を上げていく必要がある、というお話はこれからも丁寧にしていきたい点です。

参加当初は、問いをうまく受け取れなくて、なかなか噛み砕けなくて、頭が真っ白になる時もたくさんありました。  

本質を問う言葉は私の心を揺さぶり、「本当にしたいことは何なのか」「そのために様々な困難にも立ち向かっていく覚悟はあるのか」と問われていたのだと思います。

自分にできないこと、苦手なことを受け入れていく。その部分は、パートナーや仲間に協力してほしいと頼む。そのかわり、自分が自信を持ってできることにはプロフェッショナルとしての自覚を持ち、精一杯挑んでいく。それでいいんだ、と気付かされました。そしてそれが一番難しかったです。 

2. 一人ひとりの子どもと向き合う

社会起業塾が始まって、今まで出会ってきた子どもたちとそのご家族に、もう一度向き合ってみたいと思いました。

日々、一人ひとりとの関わりを大切にしながら、ももでの授業や居場所などに取り組んできました。それこそが私がしたい「自分らしく子どもと関わる」方法だったからです。この機会に子どもたちに聞いてみました。ももってどんなところ?私たちってどんな印象?予想以上に私たちの思いが届いていることに驚いたし、とてもうれしかったです。

また、卒業したOBOGにも連絡を取ったりしました。現在の状況から、ももに来ていたころの話まで。久しぶりに話す子どもたちはもう若者になっていました。学校や職場、家庭で新たな課題を持つ人もいます。みんな新しい環境で精一杯がんばってきたことが伝わってきました。中学校、高校、専門学校、大学、就職などライフステージが変わるにつれ、悩み事も変容します。

久しぶりに会えてよかった。話せてよかった。ももがあってよかった。と言ってくれる卒業生や今来てくれている子どもたち、そのご家族の言葉に励まされ支えられてきました。

一人ひとりと向き合うこと。そっとそばにいること。卒業しても緩やかな関りを持ち続けること。

ももで私たちが絶対におろそかにしない。大切にしていることを改めて見つけることができました。

3. ふたりの関係性

私たちは夫婦でまなびやももを立ち上げ、小さくても自分たちにできることから始めようと活動してきました。

昼は無料で利用出来る居場所を夜は有料で学習スタイルが選べる塾を祖父母の家だった民家を時間で区切ることで、民間でも出来る、継続できる居場所をつくる。 

当時はこの方法しかなかったからこれをやってみたんですが、私の思いに夫である貴大が付き合ってくれている、支えてくれている、そんな感じでした。

事業に関してぶつかり合うことはしょっちゅうでしたが、そんな時はいつもお互いのせいにしていました。理解してくれないから協力してくれないから思いがないから深く考えるのが苦手だから、とお互いの悪いところに目を向けて責任転嫁してしまうクセがありました。

4. コーディネーターとの面談

そんな時、コーディネーターの川島菜穂さんに面談をしていただいて、モヤモヤを吐き出したり、思考の整理をしていきました。川島さんとの面談で、夫婦でのパートナーシップについて深めていく時間をとっていただき、本当に本音でぶつかり合うことができるようになりました。事業のパートナーとして、改めてパートナーシップを結ぶことができました。 

事業のパートナーとしてお互いの尊敬しているところを認め合い役割分担をして信頼し任せることそこに感謝の気持ちを必ず添えること。

なんでも話していたけれど、やっぱり話しにくいことはたくさんありました。これまで生きてきたなかでの困難や、身近な人のことなど。やはり勇気がいることでした。

でも、それをゆっくり自分の言葉で伝えることで、貴大は一つずつ理解してくれたし、協力もしてくれました。そこで本当に安心してなんでも共有できるようになったのだと思います。

 コーディネーターの川島さんには自分たちの行動指針となるような軸づくりに関して、とてもサポートしていただきました。

5 .理事のお二人

そして、次の決断は仲間を増やすこと。

私たちは集団行動が苦手で、組織のなかでは息苦しさを感じてしまうタイプです。

仕事も長続きしにくいし、そんな私たちが仲間をつくっていくことができるのだろうかと不安でいっぱいでした。

二人で手前弁当でもいいと思っていましたし、それも悪いことではないと思います。ただ、二人で出来ることには限界があるし、得意不得意もある。

ちょうど社会起業塾中に一般社団法人に法人化したので、理事になっていただいた真鍋さんや和栗さんに、もっと色々相談してみよう。

今こんなことで困ってます。これが悩みでどうしたらいいか迷ってます。とぶつけてみることにしました。

お二人は私たちの思いや失敗をどーんと構えて受け止めてくださり、私たちには無い視点でアドバイスをしてくれます。

立ち上げ期にお二人が理事に入ってくださったことで、視座を高く保ちながら活動していこうという気持ちになります。

社会起業塾のプログラムのなかにあるVBM(仮想理事会)にも多忙ななか協力していただき、仲間として参加してくれました。

6 .インターンのお二人 

一方、ももの塾や居場所では、もっとこうしたい!こんなことができたらいいな!今これが必要だ!と感じたり、目の当たりにすることがたくさんありましたが、いやいや、二人ではこれ以上無理。

とストップをかけることが多くありました。

本当はしたいのにできない。

どうしたらいいのか?

やることを減らして二人で出来ることをしていくか

仲間を増やして出来ることを増やしていくか

そこで、以前より協力してくれていたと思っていた上井さんと湯藤さんにアプローチすることにしました。

お二人ともぜひ!と快諾してくれて、仲間になってくれました。

上井さんは元々、居場所に遊びにきてくれていて、子どもたちにごはんを食べる居場所を作りたい!という同じ志を持ってくれました。そこで、「りこのキッチン」という、ももの子ども食堂を立ち上げ、プロジェクトリーダーとして活動してくれていました。

湯藤さんは、塾の先生として子どもたちに教育の面から関わってくれていました。またボランティアで居場所や体験活動に来てくれることもありました。

そんなお二人に、運営にも携わってもらうことになりました。事業について話し合ったり、一緒に体を動かして準備をしてもらったりすることで、お互いの持つ思いや背景をさらに知っていくことができました。

余談ですが、ETIC.では毎回プレゼン資料を作り、メンタリングの際に発表します。

「何言ってるのかわかんない。」と言われ続け、自信を失いまくっていましたが

ある日、二人の前でそのプレゼンをすると、「知っています。知っていて、共感しているから、二人の力になりたいから、ここにいます。」ときょとんとした顔で言われて大笑いしたことがあります。

もっと二人のそのままでいい。いつも通りでいい。

大丈夫、私たちには伝わっていますよ。

と言ってくれたことはずっと心に残っています。

そんなこんなで、仲間になってくれた二人にはカッコ悪いところもたくさん見せてきました。それでも、大丈夫、大丈夫。とフォローしてくれて3月の修了まで駆け抜けることができたのだと思います。

7. ご協力いただいているみなさん

そして、2020年の12月から始めた子ども食堂 りこのキッチンには10〜20代の若者を中心にたくさんのボランティアさんが集まるようになってきました。

気づけばあっという間にボランティアさんは20人、30人となりました。

地域の企業様がスポンサー協力をしてくださることや、他団体の方からお米や食材を寄付していただくことも増えました。

応援してくれる人が増える中、ももは一体何がしたいの?と問われることも増えた気がしていました。

不登校の子どもたちに向けた居場所づくりや学習支援をするのが、ももの目的ではないのか?

あれもこれもと風呂敷を広げ、小さな山をたくさん作り、誰が幸せになるのか。

事業基盤(収益)がまだ不安定なのに、非営利の活動が続けられるのか。

先輩方や身近な人からも心配していただきこのような声が届くことがありました。どれも大切なことだと思います。

昔の私たちなら、やっぱり無理なのかな?やっぱり出来ないのかな?と不安になっていたかもしれません。

でも、私たちのビジョンやミッションを社会起業塾のなかで見つけることができたので、それを信じて前進することができました。

私たちのビジョンは

“生まれ育つ環境に左右されず、自分の未来に希望が持てる社会”

そして私たちが担うミッションは

“すべての子ども若者が安心して自分の力を発揮できる地域のプラットフォームをつくる”

ということです。

社会起業塾も終盤に差し掛かり、貴大と私は二人でどんな絵を描いていくか何度も何度も話し合いました。

不安になったり、自信をなくしそうになったりすることもあったけど、やっぱりこれだ!と出来上がったのが、小規模多機能コミュニティ、その理想のイメージを私たちは「草原の学校」と呼んでいます。

もものルーツは教育支援にありますが、このミッションを果たしていくためには、教育に加え、心身の健やかな安定や、食や住の暮らしの安定も不可欠です。そしてゆるやかな人とのつながりも。

学校に行っていても、そうでなくても、誰もが豊かな社会資源にアクセスできる状態を目指します。

小規模=家庭的で小さな建物

多機能=食べたり、学んだり、相談したり、眠ったり、一つの建物に2つ以上の機能がある

コミュニティ=のびのびと自由に、自分の足で移動できる距離にあるまち

というイメージです。

そして、居場所は場所があれば成立するものではなく、そこに人がいて、成り立つものではないかなと思います。

最初は二人で始めた「もも」も、たくさんの仲間が集まってきてくれています。

一人ひとりがお互いを認め合い、大切に思いながら活動しています。

ボランティアの方々も、自分には何ができるかを考えながら参加してくれて、いろんな企画を提案してくれることもあります。そしてお互いを尊重する心を持ってくれています。

その一つひとつが本当に嬉しくてうれしくて。

私たちはまだまだ失敗することもあるけれど、そうしながら成長していっている実感があります。それを見守り、信じて応援してくれる人がたくさんいます。本当に心からありがとうという気持ちでいっぱいです。

私が社会起業塾で学んだことは”教育そのもの”なのかもしれません。

一人ひとりと向き合って

心の真ん中に問いかけて

信じて背中を押すこと

そして伴走しつづけること

土の中でくすぶっていた種に

水や栄養をたっぷり与えて

あとは自分の力で根を張り芽を出すのを待つ

芽が出てきたら、よく観察しながら水をやり声をかけて

本来の力で花を咲かせるのを信じて待つ

そんなプロセスを塾生として、実体験として学んだのだと思います。

8 .全国の社会起業塾の仲間

コロナ禍でオンライン開催となったことで、地方で活動する私たちにも学びの機会が巡ってきました。とても貴重なことだと思います。どこに住んでいても、豊かな学びの機会を享受することができたのは、オンラインの中でも出来るだけ対面と変わらずプログラムを実施できるように努めてくださったETIC.の方々のおかげだと思います。本当にありがとうございました。

川北先生には当事者の代弁者になるべく、地域の先輩方や東京の先輩方とお繋ぎいただき、実際に訪問させていただいたり、相談に乗っていただいたりするご縁を作っていただきました。

また当事者の代弁者となれと、見ているようで見えていない部分、当事者理解について改めて気付きをいただきました。

花王さんにはいつも優しく声をかけていただきながら、2人だからこそ出来ることがあるはず。OBOGとのつながりもいかして成長してほしいと、たくさんの先輩方にもご協力いただきました。花王社会起業塾をはじめとする先輩方、ありがとうございました!

また、同期として社会起業塾に参加した塾生たちは全国の様々な土地でユニークで熱い思いを持って活動していています。

様々な背景に育つ子ども若者たちと関わることが多いので、これならあの人に相談してみよう!と思える人がいてくれるのはとても心強いです。

そして、香川県内外でも、オンラインでも、相談にのってもらったり、はげましてもらったりしたみなさん。本当にありがとうございました。

身近なところで、ももの始まりから知ってくださっているみなさんは、なんだ何だ?!と心配しつつも、背中を押してくれました。

地域で応援してくれる人たちがいることは何よりもの支えでした。

そして地域の協力者の方々が、ももの応援団であり、子ども若者たちの応援団になってくれることが一番嬉しいです。

昨年から続くコロナ禍で子ども若者の状況は大変しんどいです。家族もしんどいです。そんな状況だからこそ、学校や家庭に加えてほっとできる居場所をつくっていきたいし、ニーズから始まるサポートに取り組んでいきたいと思います。

関わってくださったすべての方々に感謝します。

本当にありがとうございました。

そしてこれからも、どうぞよろしくお願いいたします。